なんだろう? 


どうして理恵は、こんな目を私に向けるのだろう。


「私の携帯、11月9日なの! テレビを見ても、今日は11月9日って言ってた……」


理恵の言葉に、私も携帯電話を開いて確認する。


「ホントだ……何で?」


その場に立ち尽くして、携帯電話の画面を見つめる事しかできない



「昨日さ、私達の目の前で、猫が車にひかれたよね……もしかして、あの猫じゃなかった?」


そう言い、理恵が指差した先にいる猫。


確かに、あんな感じの猫だったような気がする。


「似てるけど、違う猫じゃ……」


私がそこまで言った時だった。


こちらをジッと見ていた猫が、急に道路に飛び出し、通りかかった車にひかれてしまったのだ。


「嘘……」


何がなんだかわからない。


困惑している私を見つめて、理恵が呟いた。


「明日香も……あの夢、見たんじゃない?」


あの夢……「赤い人」に殺された夢。


それを思い出しながら、返事もできずに再び学校に向かって歩き出した。




学校に着くと、玄関の前で留美子が青ざめた顔で立っていた。