ヤンキー君と異世界に行く。【完】



アレクの後ろを、一行はついていく。


木が生い茂る森の中を進み、聞こえてきたのは……

悲鳴と、みしみしと森の木がきしむ音。


(なにが起こってるの……?)


背筋が震える仁菜。


「ニーナとハヤテはどこかに隠れてた方がいいんじゃない?」


「そうですね、ほぼ丸腰ですし」


ラスの言葉に、カミーユが同調する。


「あれ、そういえば」


仁菜は違和感に気づいた。

どうして今まで、気づかなかったんだろう。

危険を伴う旅だというのに、誰も武器を持っていない。


「皆さんの武器は……?」


たずねるが早いか、シリウスの左手の腕輪が青く光る。

その光の中から、この前見た黒いムチが現れた。


「え、えええっ!!」


コレは魔法?科学?

信じられない光景に高速まばたきをする仁菜の前で、ラスの腕輪が金色に、同じくカミーユのものは緑、アレクのものは赤と、それぞれの腕輪に埋め込まれた宝石と同じ色の光を放つ。


まぶしさに目を閉じ、次に開けた瞬間には……


ラスの手には、レイピア。

カミーユの手には、弓矢。

そしてアレクの手には、巨大な斧が握られていた。


(ふぁ、ふぁんたじー……)


仁菜はくらくらしたが、颯の目はキラキラ。


「なんだその腕輪、すげー!」


いや、大の大人たちがお揃いの腕輪つけてて、ちょっと気持ち悪いなとは思ってたけど。武器が入ってたのね。


呆気に取られる仁菜に、カミーユがいつものおっとりした口調を若干早めて説明する。