その小さな光を目で追うと、いつの間にか自分の前に回りこんでいた姫と、目があってしまった。
『あら、ほんとうに素敵だわ』
『……っ!』
『名前は……アレク。あなた、アレクというのね』
『どうしてそれを……』
『さあ。なんでだか、わかってしまうの』
姫は微笑み、自分の名を名乗った。
『エルミナよ』
エルミナ。
それは、精霊族の言葉で『運命の星』を表すのだと知ったのは、もう少しあとのことだった。
それはともかく……。
この瞬間、アレクは、エルミナに心を奪われてしまった。
そしてまた、エルミナもアレクに同じ運命を感じたのである。
不老不死の精霊族。
エルミナもまた、何百年生きたかもう忘れてしまったと言っていた。
そんな彼女の元に、まだ20年も生きていなかったアレクは、非番になるたびにバイクを飛ばし、通った。
若かったが故に、己を突き動かす衝動に勝てず、逢瀬を重ねた。
精霊族と、人間。
──許されない恋だとわかっていながら。



