これからも、道に迷ったり、誰かに傷つけられて泣くこともあるだろう。


生きていくうえで、それは絶対に避けられないだろうけど。


でも、あたしはあたしの手で、未来を選んでいく。


新しい可能性や、まだ見たことのない世界を、これからどんどん切り拓いていくんだ。


迷ったときは、きっと颯が手を引いてくれる。


自信満々にふんぞり返って、「お前の好きなようにしろ」と言ってくれるだろう。


自分は、弱い。


強くなんか、なれない。


だけど、ひとりじゃなくて、選んでいく道の途中でずっとあなたが隣にいてくれるのなら。


あたしは怖がらず、進んでいける。


どうか、颯の思い描く未来に、自分の場所がありますように。


どうか、ずっとずっと、一緒に走っていられますように!




仁菜は目を閉じ、颯の体温を感じる。


彼となら、なにかときついこの世界を生きていくのも悪くないな。


そう思って、また笑った。





【end】