ヤンキー君と異世界に行く。【完】



ウソでしょー。
日本の田舎のちっちゃな川と、異世界を分断する大河が繋がってるなんて。


仁菜はクラクラとめまいが起きるのを感じる。


「じつは、大昔……っていっても、何百年か前だけど、うっかりこっちにきちゃった人間がいたんだよねー」


「へっ?」


ラスの爆弾発言に、マヌケな声を出してしまう仁菜。


「なんか、漁師だったみたいなんだけど、川釣りしててうっかり、『楔』の剣に釣り針引っ掛けて、裏側からソレ抜いちゃったらしいんだよね」


「……ま、まさか、そのひとって……」


「で、川に落ちて、こっちにきて、ちょっと観光して帰ってった。

そのときはそいつの釣り糸に楔の剣が巻きついてたから、当時の王様が送ったあとで境界を作り直したんだけどね。

名前、なんていったっけ?」


ラスはシリウスに問う。


「……ウラシマ・タロウです」


「「えええええ~!?」」


浦島太郎って、『助けた亀に連れられて、龍宮城に行った人』じゃなかったっけ!?


思わぬ有名人の名前が出てきて、仁菜と颯はうっかりテンションが上がってしまった。