ヤンキー君と異世界に行く。【完】



ぼんやりと思っていると、ラスが口を開く。


「キミの名前は?」


アクアマリンのような瞳で見つめられて仁菜の喉は緊張し、勝手に少し高い音を出そうとする。


「あ……水沢仁菜、です」


「えっと……全部が名前?なんて呼べばいいの?」


きょとんと首をかしげるラス。


(い、いちいち可愛いよ、この王子様……!!)


と思いながら、「仁菜でいいです」と小さな声で返したに菜。


「ニーナ。可愛い名前だね」


「は、はあ、どうも……(可愛いのは、あなたです……)」


「猫みたいだって、昔言われてたよなー」


見つめあっていた2人の仲に割って入ったのは、やっぱり颯。


「ねえニーナ、ついでにこのヘンなの、なんて言うの?」


ラスが少し意地の悪い目で、颯を見る。


すると颯は立ち上がり、自分で自己紹介を始めた。


腰に手をあて、大声で怒鳴る。


「煉獄(れんごく)総長、櫻井颯!
バリッバリに気合入れていくんで、そこんとこよろしく!!!!」