ヤンキー君と異世界に行く。【完】



(……なんか、仲良さそう。
歳の離れた兄弟みたい)


仁菜はラスとシリウスを見て、ぼんやりそんなことを思う。


「そして、彼がアレク。
ランドミル衛兵隊の隊長だ。
王子が外に出るときは、親衛隊長も勤めている」


(アレクさん……落ち着いていて頼りがいありそう……大人の男って感じ)


普段自分の周りにいないタイプだなと思う仁菜。
入学したての高校にいる男子はバカでガキなやつばかりだった。


「シリウスがいれば王子は大丈夫なんだから、親衛隊は外してくれと言っているんだが、なかなか許可が降りなくてな……」


「私は王子のお世話をしなければ。
万が一、王子の身に何かあったらどうしてくれる」


ぼやいたアレクを、シリウスがにらみつけた。


(……シリウスさんて、ラスさんのお兄ちゃんっていうか、恋人みたい……)


仁菜は一瞬、してはいけない妄想をしてドキドキした。
美少年王子と、イケメン参謀……ドキドキ。


当のラスは笑顔で、その様子を見守っている。


「そして彼がこの国の技術者筆頭、カミーユだ。
彼は王族の武器メンテナンスから軍隊の訓練まで、なんでもやる」


「主な仕事は様々な研究なんですけどね。
参謀殿は人使いが荒くて」


ふふ、とカミーユが優しく笑うと、シリウスはチッと舌打ちした。


(カミーユさんは、一番話しやすそう。
荒っぽいことはしなさそうだもんね……)