ヤンキー君と異世界に行く。【完】



「まあ、俺たちの先祖だって、昔はそう思って疑ってなかったんだから無理もないだろ、カミーユ」


眼帯大男……アレクが言う。
彼は甘いものが苦手らしく、目の前のお菓子らしきものには、いっさい手をつけていなかった。


「そうですね……ええと、とにかく、あなたたちはこの裏側の世界に来てしまった、というわけです」


カミーユと呼ばれた白衣の男は、「あとはどうぞ」と説明役をシリウスに返却した。


仁菜と颯の頭の上には、無数のハテナマークが浮かんだまま。


(地球が平べったい?
空間が補完ってどういう意味?)


わけがわからない仁菜を無視し、シリウスは勝手に説明を始める。


「そしてこのランドミルの王子が、ここにおわすラス様である」


「ラスでーす!」


口の周りに生クリーム(っぽいもの)をつけたまま片手を上げるラス。


仁菜は、この美しい少年=王子だということだけは、すんなりと受け入れることができそうだと思った。


「そして私が、参謀を務めているシリウスだ」


「参謀と言っても、普段の仕事は俺のお守りだけどねー♪」


「ラス様、お静かに」


「ちぇっ」


叱られて、ラスは頬を膨らませた。