ヤンキー君と異世界に行く。【完】



「これが実はですねえ」


白衣の男が指を当てると、地球は光の粒の集まりに戻る。
そして再構成された映像は、平べったい世界地図になった。


「丸いように見せかけて、実はこうなっていてですね」


さらに男は、両手でおぼんをひっくり返すようにする。
すると世界地図はぐるりとひっくり返り、仁菜の目の前にまったく知らない地図が現れた。


「ええ……!?」


目の前にぷかぷか浮いている映像に、仁菜は顔を近づける。


まるで一枚の下敷きの両面に、それぞれの地図のシールを貼り付けたみたいなそれ。


その映像がなんでスクリーンも無いのにこんなにはっきり見えるのか、そこにも興味はあるのだけど、それはおいておいて。


「このように、我々の世界とキミたちの世界は、非常に近くて、でも絶対に手が届かないようになっているんです。普段は」


「んなわけねーだろ。
地球が丸いことくらい、いくらバカな俺だって知ってるぜ?」


「それは、あなたたちの勘違いです。

端っこにいってしまった船や飛行機が宇宙に放り出されないように、空間が補完してくれているんです。
もし端っこにいっちゃったら、もう一方の端っこにワープできるように。

だからあなたたちは、『地球は丸い』と思い込んでいる」


「……??????
わかる?ニーナ」


「全然……」


嬉しそうに説明していた白衣の男は、2人のリアクションを見て、少し寂しそうな顔をした。