そんなふうで、集落を焼け出されてしまった砂漠の民は、一度ランドミルへ向かうことに。


『あなたたちは、俺の家臣になるわけじゃない。

魔族の動きが落ち着いて、怪我人が元気になったら、集落へ帰ればいい。

ただ、ランドミルにいる間だけは、俺に忠誠を誓っているふりをして。

大丈夫。手出しはさせない』


ラスがそう言えば、誰も文句は言わなかった。


きらきらと全身から光を放っているようなラス。


(それに比べて、あたしときたら……)


結局何もできなかった。


みんなの役に、立てなかった。


仁菜は大きなため息をついた。