カフカが去ったあと、砂漠の集落の無事だった人々と、カミーユと仁菜で、怪我人の手当てをした。


カミーユは双子を追いかけたけど、結局姿が見えずにあの屋敷に戻ってきたのだといった。


とにかく仁菜は彼の助手となって、働き通しに働いて……なんとか、仲間たちは意識を取り戻した。


長老も孫たちも無事。


だけど燃やし尽くされた集落では、手遅れで亡くなってしまった人も多くいた。


『早くハヤテや重症患者をランドミルに運びましょう。
薬も底を尽きています。このままでは危ない』


カミーユが進言すると、すぐに意識を取り戻したシリウスがうなずく。


『そうだな。その前に、長老に聞きたいことがある。

ここが狙われたのは、反乱の際にあなたが持ち出した「神の涙」が原因だな?』


問われた長老は、力なくうなずく。


『神の涙って?』


『あの魔族が持っていった、宝石だ。

あれはもともとランドミルの秘宝と言われ、王族しか触れることも見ることも許されていない。

それは持つ者が望む願いを、ひとつだけかなえると言われている。

あくまで伝説だがな』


それは、王以外誰も開けることができないはずの宝物庫に安置されていたはずだった。