ふっと、目を開ける。 見えたのは、うつぶせに寝ている颯。 ピンクのメッシュが入ったダサイ髪の、16歳の颯だ。 その寝顔は安らかで、口の端からよだれが一筋、流れている。 「……ばーか」 仁菜はそっと、よだれを拭いてやる。 (また懐かしい夢を見ちゃった……) 白く、清潔なベッドに横たわる颯。 付き添ったまま、仁菜も寝てしまったらしい。