「何してんだよ。さっさととっちまえ」
双子の魔族の後ろから、低い声がかかった。
長く黒い剣を手にした声の主は、双子を突き飛ばす。
そして、その剣を座り込んでいた長老の目の前に突き立てた。
「はーん、これが『神の涙』か。
お前たちの反乱のどさくさで、どこにいっちまったかわからなくなったと言われていた、伝説の宝石。
やっぱりお前が持っていたか」
双子はおそるおそる、彼をのぞきこむ。
彼は黒く長い髪を後ろで束ねていた。
魔族特有のとがった耳に、灰色の瞳。
美しい青年の姿の魔族は、慎重に手袋をはめ、黄金の宝石に手をのばした。
そのとき……。



