「カミーユさん……あたしも、一緒に行きます」


完全に出遅れてしまったけど、背伸びをしてカミーユの手に、自分の手を重ねる。


「そんなに心配そうな顔をして……可愛いひとですねぇ、あなたは」


カミーユが笑って、もう一方の手で仁菜の頭をなでる。


仁菜は顔が熱くなるのを感じた。


(可愛いって……)


たしかに、あの長老たちに近づいて、カミーユやラスが傷つけられるのは心配だけど。


(そんなに顔に出てたかな?)


仁菜は自分の頬をさすった。


「大丈夫です。

砂漠の民に恩を売ってやる好機ですから。

迷う気持ちはありません」


にこりと、カミーユは笑う。


それは仁菜の緊張をほぐしていった。


「さーて、参謀殿。

反対派はお前ひとりだけど?」


颯がにやりと口の片端を上げて言うと、シリウスは腕を組んだままため息をついた。


「……ラス様が行くとおっしゃるなら、行くしかないだろう」


無愛想な彼を見て、ラスは微笑む。


そうして一行は、砂漠の集落へと向かった。