「……は?」
暴言を吐いた男が、茫然と赤く腫れた自分の頬を触る。
彼にビンタを したのは、愛光だった。
「……さっきから聞いてれば、何な訳?」
愛光の声は、怒りで震えている。
「餓鬼だとか、出来ないとか、死ねとか。そんな事 言うなら、あんた達が悪魔と戦えば?」
「はぁ!? そんな事 出来る訳――。」
「じゃあ文句 言わず、黙って見てなさいよ!!」
愛光の強気な言葉に、仲間達は ぽかんと口を開けている。
「うるせェ!! 人間のくせに!!」
「人間だから何だってのよ!? 大体 話し掛けて来るとか、あんた達の方が餓鬼なんじゃない!? そんなに私達が気に入らないなら、無視してなさいよ!! わざわざ話し掛けて来るとか、構ってちゃんじゃん!!」
言いたい事を全部 言い切った愛光の前で、男は わなわなと震える。
「……て、めェ……馬鹿に すんじゃねェよっ!!」
今度は男の拳が、愛光の顔に向かって飛んで来る。勇敢に立ち向かったは良いものの、思わず足が竦み、愛光は ぎゅっと目を瞑る。
「アイカ!!」
ウィンが自分の名を呼んだのが聞こえる。その後、ばきっと拳が顔を殴る音が聞こえた。
しかし、いつ迄 経っても、衝撃も痛みも やって来ない。
恐る恐る目を開け、愛光は息を飲んだ。


