☆
村から10メートル程 離れた場所で、ライネスは「此処で待ってるから。」と言い出した。
「だから、なんでだよ?」
「寧ろ何で解らないんだよ? 村に住んでるくせに。」
ウィンとライネスは また口論を始めてしまう。
「わっかんねェよ、何も。」
「私も解りません、ライネス。」
リホも静かに口を開いた。
「そんなに村には行きたくないんですか? 昔 虐められてたから?」
「……お前、まだ その話 引き摺ってんのか。」
ライネスは呆れたように溜め息を つくと、近くの木に背を預けた。
「兎に角、行かないからな。」
「……ライネスぅ、また発光(ライト)使うよ?」
見兼ねた愛光が そう言うと、ライネスは恐ろしく鋭い瞳で、愛光を睨んだ。
「何度も脅しが通用すると思うな。」
「我儘 言わないの!」
そう言ってライネスの腕を掴んだ瞬間、彼は熱い物に触れたかのように、素早く手を引っ込めた。
「?……ライネス?」
「……解った、行けば良いんだろ、行けば。だから触るな。」
そう吐き捨てて歩き出したライネスの後を、リホ達は追い掛ける。
しかし愛光は、その場に固まったまま動けなかった。


