其処に居たのは正しく、幻獣だった。
フェニックスの大きさは18メートル程。クリーム色の胴体に、小さな頭、細く尖った嘴。翼の炎は触ったら火傷を するのだろうか。
グリフォンの大きさは、17メートル程と25メートル程。小さい方がウィン、大きい方がリーヤだろう。狼のような獣の胴体に、がっしりとした翼。
ペガサスは、人界の成人の馬より一回り大きいくらい。純白の胴体に純白の翼。余りにも白過ぎて、不自然ささえ感じる。
(……これが……幻獣……。)
小さい頃 絵本で見た動物より がっしりしていて、とても力強い。
(あー、私、人間じゃなくて、幻獣に生まれたかったかも。)
思わず そんな事を思ってしまう。
その時。
「さぁ、乗って!」
大きい方のグリフォン――リーヤの口が開き、言葉を紡いだ。
愛光とレイムは驚いて、お互いに抱き付いてしまう。
「しゃしゃしゃ喋ったぁ……!」
「そりゃ そうだろ。」
今度はウィンの声。
「変身の原理と言い、獣の姿で言葉が通じる事と言い……幻獣って奥が深い……!」
愛光は感心しながら、レイムと共に、嘴で自分の背に器用に鞍を乗せたリーヤの躰に、足を掛けた。


