「“どうして”? 貴方 馬鹿なの?」
美雪の笑みは残酷だ。
「だって貴方、友達 居ないでしょ。」
「……え。」
耳を疑った。
「友達が居ない人の方が、いじめやすいでしょ。」
「え、美雪ちゃんは!? 歩美ちゃんは!? 佑美ちゃんは!?」
美雪のグループの女子の名を挙げ抗議すると、美雪は鼻で笑った。
「私、あんたの友達なんかじゃないわよ。愛光を いじめる為に友達ごっこ してただけ。歩美も、佑美もね。」
「……そん、な……。」
躰が後ろに傾くような感覚。
友美が よろよろと後退ると、美雪は楽しそうに笑った。
「愛光を いじめるの、手伝ってくれて有り難う。これからは、いじめられる側に なって、私達を楽しませてね。」
美雪は くるりと踵を返し、自身のグループの中へと戻って行った。
その後ろ姿を、茫然と見つめる。
(……いじめられる……。)
このクラスに味方なんて、誰も居ない。
愛光は――居ない。
(……愛光を裏切った つけが、回って来たんだ……。)
もう どんなに謝ったって、この結末は変わらない。
(……愛光……御免ね……。)
どうにも ならないと知りながら、友美は心の中で何度も何度も謝りながら、涙を流した。


