「私が巫女に なっちゃったから!? 貴方が家族や仲間を失ってしまったから!? 周りの環境が変わったって、私自身と貴方自身は、何も変わってないわ!」
「……リホ。」
ライネスはリホを押し返す。しかし その声には、労りの気持ちが在った。
「その通りだ。お前は何も変わっちゃいない。その優しさも……一途な所も。」
だがな、とライネスは言葉を続ける。
「俺は……変わったんだ。もう、お前が知ってる俺じゃない。」
「貴方は何処も変わってない!」
遂に、リホの瞳から涙が零れた。
2人の関係を詳しく知らない愛光達は、黙って見守る事しか出来ない。
「確かに、昔みたいに弱くないし、周りに優しくも無い。でも貴方は優しさを隠してるだけでしょう!?」
「リホ!!」
それ迄 淡々と言葉を紡いでいたライネスが、声を荒げた。
「お前の勘違いだ! 俺は優しくなんか無い!」
「嘘っ!!」
「黙れっ!!」
泣き崩れるリホに怒鳴り、ライネスは家の中へ入ってしまった。
「……ライ、ネス……私、貴方しか居ないの……。」
リホの口から零れた その言葉は、ライネスの耳には届かなかった。


