「お人好しなこった。わざわざ自分には関係無い異界に来て迄、戦おうなんて。」
(……ん?)
何だか、とんでもない毒舌を吐かれた気がする。
「おまっ……アイカに向かって、何て事 言うんだよ!!」
「ちょっと!」
青年に喰って掛かるウィンの前に飛び出して、愛光は彼の綺麗な顔を直視した。
「私達が名乗ったんだから、貴方も名乗ってよ!」
「…………。」
てっきり言い返されると思っていたのだろう。不意を突かれた青年は、ぽかんと愛光を見返した。
その顔を見て、愛光の胸が どきんと鳴る。
(口は悪いけど……ほんと格好良いんだから……。)
どきどきする胸を必死に宥めて、愛光は きっと青年を睨む。
「……変わった奴だな。」
青年はズボンのポケットに手を突っ込み、そう呟くと、再び口を開いた。
「ライネス。雷龍だ。」
「らいりゅう?」
意味が解らず首を傾げる愛光に、リホが説明してくれる。
「龍族は、色々な種類が居て、使う魔法の属性が異なるんですよ。炎龍(えんりゅう)とか、水龍(すいりゅう)とかが居ます。」
「へぇ。」
納得する愛光を、ライネスは不機嫌な顔で見遣る。
「名乗っただろ。だから帰れ。」
(ちょ……ほんとに口 悪いな……。)
愛光は呆れてしまった。


