愛光は金髪の青年の顔から、目が離せなくなった。
(かっ……格好良い……。)
実は愛光は、恋愛 未経験だ。誰かを好きに なった事等、1度も無い。惚れっぽい女子の気持ちなんて、全然 解らなかった。
それなのに、彼から目が離せない。
「何 人ん家の扉ぶっ壊――。」
言い掛けて、青年は僅かに目を見開いた。
「……お前等、何で此処に……?」
青年の言葉が指す お前等とは、リホ、ウィン、リーの事だろう。
「何でって、この前 大爺様んとっからの使者が、予言の話しに来ただろ?」
腰に手を当て、ウィンが面倒臭そうに答えると、青年は あからさまに顔を顰めた。
「その使者に伝えた筈だ。俺には関係無いと。」
「そんな事 知ってるっつーの! 昨日の集会にだって顔 出さなかったんだから!」
わあわあとウィンが騒ぐ。何だか良く解らないが、青年とウィンの仲は悪いようだ。
(声、格好良いなぁ。)
ウィンと青年の口論等お構い無しに、彼の少し掠れた落ち着いた声に聞き惚れていると。
不意に、青年が愛光とレイムを睨んだ。
「そいつ等は、予言に出て来る人間と天使か。」
「あっ、はい。愛光です。」
「レイムだよ。」
青年とは初対面の愛光とレイムが名乗ると、彼は ふんと鼻を鳴らした。


