大聖堂の扉を開け、中に入ると、先に中に居た幻獣達は、しんと静まり返って愛光とリホを見つめた。
彼等の背中に在る色とりどりの翼を見て、愛光も無言で彼等を見つめた。
(……凄い。)
リホの炎の翼も綺麗だが、純白の艶々した翼や、翠と黄色が混ざった鋭い翼等、様々な形態の物が在る。
「アイカさん、此方へ。」
リホは そう囁き、幻獣達に挟まれた通路を歩き出す。
その先に居たのは、1人の老人だった。
綺麗に纏められた白髪に、同じ色の長い髭。長い眉毛の下から覗く蒼い瞳。背中には純白の翼が生えている。
「此方が大爺様です。」
リホが白髪の老人を手で指し示した。
大爺様と呼ばれた老人は、にっこりと微笑む。
「そなたが、予言に唄われる女性か。名は?」
「星野 愛光です。」
愛光が答えると、大爺様は彼女に歩み寄り、肩に手を置いた。
「皆の者、予言の通り、人間の少女が降臨した! 我々は予言に従い、この世界を、そして天界を護ろう!」
大爺様の言葉に、集まっていた村人達は、おおっと沸き上がった。
「……良く来てくれた、アイカ。」
沸き上がり、喜ぶ村人達を眺めながら、大爺様は愛光に囁いた。
「今日から 其方は、この村の住人だ。歓迎する。」


