他者の目を気にせず、自分らしさを貫く愛光の生き方を、友美は羨ましく思う。だからこそ、変わっている愛光と、友達に なれたのだ。



「良いよねェ、愛光は。」

「何が?」

「そうやって、思った事 直ぐに言えて。あたしは無理だから、羨ましい。」

「それは思った事じゃないの?」

「え?」



自分に向き直った愛光の翠の瞳と、目が合う。



「私が羨ましいって、ちゃんと言えてるじゃん。何処が羨ましいの?」

「ん〜?」



そう言われると、愛光が正しいような気がする。



思わず唸ってしまった友美に、愛光は明るい笑顔を向ける。



「友美は私の友達だもん。出来るよ。」



――出来るよ。



愛光の その言葉は、何て心強いんだろう。愛光が出来ると言ってくれれば、友美は何でも出来る気がするのだ。



その時。



「おっはよーっ。」



気持ち悪いくらいの高い作り声が、教室に響いた。

登校して来たのは、自毛の黒髪を金髪に染め、ふわふわと巻き上げた、このクラスの中心人物的 存在。

高嶺 美雪(たかね みゆき)だ。



「お早う!」

「お早っ、美雪!」



愛光と友美 以外の女子が、彼女に挨拶した。