それから3日間、愛光は家に閉じ籠もった。
祖母が死んでいると解っていても、救急車を呼んで、小さな葬式を行った。
身内は誰が愛光を引き取るかで揉めている。
哀しいのに。
苦しいのに。
誰も慰めてくれない。
疲れた。
3日間、自室のベッドの上で、何も口に せず、深く眠る事も無く。
ずっと、ずっと、ぼんやりしていた。
親友に裏切られた。
祖母が亡くなった。
身内は引き取るのを拒否する人ばかり。
(……誰も……。)
――私を、必要と していない。
泣いて がんがんする頭の片隅に、そんな言葉が ぽつりと浮かんだ。
(……もう……死んじゃおうかな……。)
私が居た所で、何か変わるんだろうか。
私が生きていても、死んでいても、それを知ってくれる人なんか、居るんだろうか。
その時。
愛光の脳裏に、赤い髪が閃いた。
(……リホ……。)
異界から来たとか、予言が在るとか、愛光が必要だとか言って来た、訳の解らない子。
でも。
誰も自分を知らない世界でも、私を必要と してくれる世界が在るのなら。
この、理不尽な世界から、逃げられるなら。
愛光は ゆっくりと、ベッドから身を起こした。


