予言と未来




「どうゆう事だよ!? 予言の通り、ライネスが裏切ったって事かよ!?」



ウィンが叫ぶと、ライネスは ふっと笑った。



「裏切り、ね。俺は あんま、裏切ったって感じ、しないんだけど。」


「はぁ!?」


「元から好きで あんた等の仲間に なった訳じゃねェし。それに、もう どうだって良いんだ。」



ライネスの微笑みには、隠されている感情が在る気がすると、愛光は思った。


彼が地界に連れて行かれる前、瞳に浮かべていたものと、同じ感情。



――寂しい。



(……ライネスは まだ、完全に裏切った訳じゃない。どうして良いか、解んないだけだ。)


今迄 信じていたものが、違っていたと言う事実。それを知った時、どんな絶望を感じるのか、愛光には解らない。



「俺は俺なりに、頑張って来たつもりだ。でも、どうにも なんなかった。世界は俺を見捨てるばかりで、生きている理由も、価値も、全然 解らなかった。誰からも必要と されていないならさ、例え間違っていると解っていても、自分を必要と してくれる奴に付いた方が、楽じゃねェか。」



変わってしまった姿。
変わってしまった口調。
変わってしまった心。


その全てを、元に戻したい。


(……貴方が必要だって伝えたい……。)


人界で家族を失い、友達に裏切られ、クラスメートに無視され。自分の存在価値が解らなかった愛光を、空界で出逢った皆は、必要と してくれた。勿論、その皆の中に、ライネスも含まれていた。



仲間と過ごして、彼が好きに なって、この世界なら生きて行けると思った。



(存在価値を くれた貴方に、私も同じものを あげたい。)



でも、その為に何を したら良いんだろうか。