何度も、何度も、死のうと思った。
父も、母も、姉も殺されて、誰も必要と してくれない この世界で生きて行くのは、苦痛だった。
自分が弱かったばかりに、悪魔を召喚してしまい、彼等は あっと言う間に龍族を殺戮した。
何故、こんなにも重い罪を犯した自分が、生き残ってしまったのか。
10年前、地界に連れて来られてから4年間、10歳に なる迄、ライネスは此処で実験台に され、その後 空界の者に保護され、大爺様に引き取られた。数え切れない程 自殺未遂を繰り返し、時には止めようとした神官にナイフを向けた事も在った。
それでも、死ねなかったのは。
“生きて”と言う、姉の言葉。
自分を護って死んだ姉が、最期に言った言葉。自分の所為で死ぬ事に なったのに、姉は自分の幸せを祈ってくれた。
その姉へ感謝の気持ちを持ち、姉の分迄 精一杯 生きなければならないと言う大爺様の言葉も在り、罪を償う方法を捜そうと、無理矢理 前を向いて進んだ。自分で稼いだ金で村の外に家を作り、自立も果たした。過去の大罪は消せないけれど、それを ずっと抱えて、生きて行こうと思った。
それなのに。
仲間と言う言葉に憧れ、好きな人に想いを打ち明ける事を欲し。
結果、今迄の行動 全てが、ライネスを縛る鎖に なった。
全部、罪人なのに欲張りだった、自分の所為なのだ。
(……こんな事に なるのなら……。)
もっと前に、死んでおけば良かった。
哀しみや苦しみ、後悔が、ぎりぎりと胸を締め付けるのに。
その紅い瞳から涙が流れる事は、無かった。


