予言と未来




それから1週間、ライネスは其処で監禁された。



毎日、朝昼夜と食事が運ばれて来るので、地界に来てから どれくらいの時間が経ったか、把握する事は出来た。その食事に手を付ける事は しなかったが。



空腹と疲労とストレスから、浅い眠りの中で うとうとと していると、10年前の事を沢山 思い出した。



誰に教わるでもなく、悪魔を召喚した事。


悪魔と戦い、龍族が沢山 死んだ事。


殺されそうになった自分を、身を挺して護ってくれた姉の背中。


“生きて”と言う言葉。


この地で、実験と称して行われた、非道な行為。



そして。



それと同じような事を、ウィロアは行う。



10年前と同じように、とても楽しそうな顔を して。



殴られ、蹴られ、魔法を使われ。正直 言って、死にそうなくらい、躰は悲鳴を上げている。



舌を噛んで死んでみようかとも思ったが、やはり臆病な自分は そんな事 出来なくて。



何より。



「もう1週間も経ったのに、まだ助けは来ないわね。」



胸に突き刺さる、ウィロアの言葉。



「あんた、捨てられたのね。」



短い間とは言え、一緒に切磋琢磨して来た仲間に、ライネスは気を許し過ぎてしまった。