「そもそも その髪が、何よりの証拠だろ。」
そう言って、ヴィルは指差す。
金と黒のメッシュの、ライネスの髪を。
「ライラは、俺――悪魔との間に子を作った事を悔いた。其処で、お前の力を雷龍の力ごと封印する事で、お前が混血だと言う事が ばれないように しようとした。だが、力が弱い故に お前は追い詰められて行き、10年前、俺を召喚したんだ。」
「……嘘だ。」
「嘘じゃないさ。お前は、俺の息子なんだ。」
「黙れっ!」
ライネスは耳を塞いだ。
大切だった。
魔法が弱くても、泣き虫でも。優しい家族が居てくれて、幸せだった。
それなのに。
大好きだった父が、赤の他人だった?
護ってくれた姉が、赤の他人だった?
(……そんなの……。)
信じられる、訳がない。
「良く考えろ。お前の その金髪に混ざった黒髪の意味を。魔法が まともに使えなかった餓鬼が、何故 悪魔を召喚 出来たのかを。」
そう言い残し、ヴィルは牢を出て行く。
残されたライネスは、ヴィルに言われた言葉を頭の中で反芻しながら、冷たい床に蹲っていた。


