「……あ。」



走って、走って、村を飛び出したは良いものの、ある事に気付いて、愛光は立ち止まった。



「……地界って、どうやって行けば良いんだろ。」



肝心の その部分は、人間である愛光は知らない。


(……どうしよう、大爺様に訊きに戻ろうかな……。)


でも。



――仲間って言う言葉は、欺瞞だったんだ。



酷い言葉を言ってしまったと言う自覚は在る。もう1度 仲間に会うのは、気不味かった。


どうしようかと、行ったり来たりしていた その時。



「……アイカさんっ!」



空から声が聞こえたかと思うと、愛光の目の前に、人の姿を したまま翼で飛んでいたリホが、降り立った。



「リホ!?」


「置いてかないで下さい、私も一緒に行きます。」



先程 泣いた所為で赤くなってしまっているリホの瞳には、愛光と同じ強い光が浮かんでいた。



「ライネスと、ずっと一緒に居たいんです。彼に裏切って欲しくない。だから、私も彼を助けに行きます!」



リホの言葉に、愛光は頷く。


嬉しい。これが、“仲間”と言うものなんだ。



「……他の皆は?」


「多分、来ません。」



そう言った後、リホは にこりと笑う。



「大好きな彼を、助けに行きましょう!」



ライネスが好きだと言っていたウィンは結局、彼を助けに行く事を拒んだ。



「ライネスを誰が落とすか勝負は、まだ決行中ですよ!」



ネガティブに なっていては、出来る事も出来なくなる。


そんなリホの言葉が聴こえたような気が して、愛光はリホの手を取り、走り出した。