予言と未来




大聖堂は入って直ぐが、大広間に なっている。いつも その大広間で話を している愛光達が、それ以上 奥へ進むのは初めてだ。村に一泊した時、愛光はリホが暮らしている部屋へ お邪魔したが、あれは大広間より奥と言うよりは、大広間の隣、と言った感じだった。


大聖堂は広く、入り組んでいて、愛光は今 自分が何処等辺に居るのかすら、検討が付かなくなってしまった。


やがて1番 奥の狭い部屋に辿り着き、大爺様が その部屋の壁を弄ると、レバーのような物が現れた。



「……おお、アニメみたい。」


「あにめって何だ?」



愛光の呟きにウィンが突っ込むが、愛光が それに答える前に、驚くべき事が起こった。


大爺様が そのレバーを引く。がこんと音が したかと思うと、部屋の端に在った棚の1つが ゆっくりと動き始め、地下へ続く階段が現れたのだ。



「うおおぉ……。」



ウィンが息を飲んで呟くが、大爺様は尚も無言のまま、その階段を降りて行く。愛光達も後に続いて降りて行く。


長く続く螺旋階段は、どれくらい下迄 伸びているのか、見当も付かない。かつん かつんと言う仲間の足音だけが、静かな空間に響く。



10分程 降りただろうか。遂に階段が終わり、平らな床が現れる。其処へ降り立って ほっと息を吐いた時、愛光達は目を見開いた。



薄い水色の壁、天井、床。息を飲む程に綺麗な その空間の真ん中に、クリスタルのように輝く物が在る。それは等身大であり。



中には、1人の少女が眠っていた。



その少女の背に生えている翼を見て、愛光は息を飲んだ。



「……大爺様、この人……。」


「ああ、そうだ。」



愛光の考えが解ったのだろう。大爺様は頷くと、閉じ込められて眠っている少女を見上げる。



「彼女は、龍族の姫だ。」