いや、激痛が走ったのではない。正確には、ヴィルが魔法で愛光を攻撃したのだ。
またしても見えない攻撃を受け、愛光は悲鳴を上げる事すら出来ずに、再び地面に倒れた。その光景を見て不敵に笑った後、ヴィルはライネスを地面に突き飛ばした。
「……くっ。」
そしてヴィルは、愛光に向かって、歩を進める。
「お前みたいな、正義感を ひけらかしてる餓鬼、嫌いなんだよ。悪いけど、死んでくんない?」
「……ヴィルっ!」
血が固まり掛けていた傷口が再び開くのも構わずに、ライネスは立ち上がる。
「止めろ! そいつに手を出すなっ!」
「うっせェな。」
ヴィルは呟くと、その場で素早く身を翻し、ライネスの傷口を思い切り蹴っ飛ばした。
「あぐ……っ。」
ライネスの口から、小さな悲鳴が漏れる。その場に蹲った彼の頭を蹴飛ばし、地面に倒れさせると、ヴィルはライネスの喉に片足を置いた。そのまま ぐりぐりと踵に力を込める。
「が……っあ……。」
ライネスは必死に抵抗するが、怪我の所為も在り、為す術無く されるがままに なる。
「ライネスっ!!」
あのままでは息が出来ない。
愛光は右手に神霊を集めると、ヴィルを攻撃しようと した。
その瞬間。
「…………っ。」
ヴィルは一気に愛光の前に飛び出した。


