「そう。だから、向こうで……地界で話そう。」
「…………。」
ライネスは、答えなかった。彼に再び歩み寄るヴィルの前に、愛光は飛び出す。
「ライネスには触れさせないっ!」
そう叫び、魔法を使おうとしたのに。
気付けば、愛光は3メートル程 遠くの地面に、俯せに倒れていた。
(……あの時と、同じだ……。)
ウィロアと戦った時と同じ。敵の攻撃が、見えない。
「五月蝿いなぁ。」
そう呟いたヴィルの顔は、ぞっとする程 殺気に満ちていた。
「俺はライネスと話してんの。お前みたいな女、興味無い訳。つーか、あんた、ライネスの何?」
「仲間に決まってんでしょ!」
痛む腕で躰を起こし、愛光は叫ぶ。
「ふぅん、仲間、ね……。こいつが犯した罪、あんたは知ってんの?」
「知らない! どうでも良いっ!」
「どうでも良い、か。面白い子だね……ライネスが犯した罪、教えてやるよ。」
そう言って笑うと、ヴィルはライネスの金と黒のメッシュの髪を、引っ掴んだ。


