翌日 学校に行き、自分の席で携帯を弄っていると、友美が登校して来た。
「愛光、お早っ!」
「お早う。」
答えて直ぐ目線を携帯の画面に戻すと、友美は愛光の顔を覗き込んで来た。
「……愛光? 何か在ったの?」
「えっ!?」
驚いて、勢い良く顔を上げてしまった。
「やっぱり、昨日 何か在ったんでしょ? いつもと雰囲気 違うもん。」
友美は そう言って、にへっと笑った。
入学して僅か3ヶ月。いつも無表情な愛光の小さな変化に気付くなんて。
(……いつから こんなに仲良くなったんだろ。)
友達なんて、作る気 無かった。
両親の時のように、失った時に苦しみたくないから。
「で、何が在ったの?」
「……ちょっと、ね。」
暫く考えて、愛光は曖昧に微笑んだ。
異界の事。
予言の事。
フェニックスの少女の事。
自分でも しっかり理解 出来ていない、整理 出来ていない事を、上手く説明 出来る自信は無かったし、簡単に信じて貰えるとは思えない。
「……そっか。なら良いんだ。」
友美は直ぐに そう言って、にっこり笑う。
詮索しない彼女の気遣いに、少し心が軽くなるのを感じた。


