「ああぁぁあぁっ!!」
ウィロアの絶叫が辺りに響く。
彼女の腹を蹴り飛ばすと、レイムの兄は再び剣を構えた。
「さぁ、まだ やるかい?」
「くっ……覚えてなさい!!」
傷口を押さえながらウィロアは言い捨て、黒い翼を広げると、空へと舞い上がった。
「……助かった……の?」
愛光が呆然と呟くと、ウィンが駆け寄って来た。
「アイカ!! 大丈夫だったか!?」
「あ、うん、大丈夫。それより……。」
愛光がレイムの兄を見上げると、リホやリーも彼女の傍に歩いて来た。彼は愛光達を見て、にっこりと微笑む。
「無事で何より。先ず、自己紹介させて貰うね。」
「あ、はい。」
「俺はルーヴ。レイムの兄だよ。」
「レイムの お兄さんが、どうして此処に?」
「うん、実はね、俺は1年ちょっと、レイムと離れて暮らしててさ、知らない内にレイムは予言の実現者に志願しちゃってるし。そりゃ、予言に出て来る天使は女の子らしいから、仕方無い事なんだけど、俺も予言の実現者に志願したかった身だしさ。」
「……え?」
突拍子の無い発言に、愛光が ぽかんと口を開けると。
「子供の我儘みてェ。」
ウィンが ぼそっと呟いた。


