その時。
「……駄目だよ、そんな事 言っちゃ。」
そんな言葉と共に、誰かがライネスとウィロアの間に すとんと降り立った。
それは、20歳くらいの男性だった。短く切られた金髪、男性にしては大きめのピンクの瞳、透明な翼。容姿からするに、天使なのだろう。
その男性の姿を見たレイムは、あんぐりと口を開けた。
「おっ……お兄ちゃん!?」
「はぁ!?」
レイムの叫び声に、即座にウィンが反応する。
レイムに“お兄ちゃん”と呼ばれた男性は、彼女の方を振り返ると、にっこりと笑った。
「久し振りだね、レイム。元気そうで何より。」
「……全然 元気じゃないし。」
呆れ顔のレイムに くすりと笑い、彼はウィロアに目を向けた。
「……と言う訳で、妹を保護しに来たんだ。悪いけど、邪魔しないでくれるかな?」
「天使の身で何 言ってんのよ。悪魔に勝とうっての?」
ウィロアは ふんと鼻を鳴らし、彼に飛び掛かった。
「お兄ちゃんっ!」
思わずレイムが叫んだ時。
彼は、にっこりと笑った。


