直径10センチくらいの大きさの傷が、腹から背中に掛けて貫通しており、筋肉や骨が僅かに見えている。
溢れ出す血を止めようと、レイムは必死に両手で抑え込み、回復(ヒール)を使っているが、効果は余り無いようだった。
「レイム、私も手伝う!」
レイムと共に傷口を押さえ付けると、ライネスは小さく呻いた。
「ライネス! 大丈夫だから!」
必死に声を掛けると、ライネスは薄く目を開き、小さく頷く。傷の割に、意識は しっかりしているようだ。
その時。
「あんた達、邪魔なんだけど。」
愛光とレイムの後ろから、声が聞こえた。
振り返ると、不敵な笑みを浮かべたウィロアの姿。
「私はライネスを連れて行くんだって言ったじゃない。」
ウィロアが手に神霊を集めながら、手を伸ばす。愛光はレイムとライネスを守るように、一歩 前に出た。
「何が目的か知らないけど、私達だって仲間を敵に渡す気は無い。」
ウィロアの瞳を真っ直ぐに見つめ、言い放つ。
その瞬間。
ウィロアの手が愛光に向かって素早く伸びた。


