「……がっ……あああぁぁっ!!」
傷口を押さえ、ライネスは痛みに悲鳴を上げた。
「大丈夫よ。貴方それくらいじゃ死なないでしょう?」
ウィロアは それを見て、くすくす笑う。
(……“悪魔”だ……。)
愛光の背中に悪寒が走る。
今迄 戦って来た悪魔は、確かに悪魔だった。けれど、それでも彼等は“人”だった。
今 戦っている相手は――本当に“悪魔”なんだ――。
唯一 動けるレイムがライネスに走り寄り、傷口に手を充てる。
「…………っ。」
どくどくと血が溢れ続ける傷口を見て、レイムの頭は くらくらした。それでも自分を奮い立たせ、彼女は回復(ヒール)を使い始める。
「そんな事しても無駄よ。貴方達は此処で死ぬの。ライネス、貴方だけは私と一緒に来るのよ。」
「……な……だ、って……?」
「ライネスっ! 喋っちゃ駄目っ!!」
ライネスの口から ぼたぼたと鮮血が溢れるのを見て、レイムの目に涙が浮かぶ。
愛光は がくがくする足で必死に立ち上がり、藻掻くようにしてライネスとレイムの元へ駆け寄った。
「アイカ……っ。」
レイムの瞳に溜まっていた涙が遂に溢れ、彼女の頬を伝って地面を濡らす。
近くでライネスの傷を見て、愛光は言葉を失った。


