「私の攻撃、見えなかったんでしょう?」
ウィロアは楽しそうに くすくす笑う。
「強くなった気で居るんでしょうけどね、こんな平和な世界で修行している貴方達の力なんて、私達 悪魔には及ばないのよ。」
そう言って、彼女は右手を上げる。
(……殺られる……っ!)
衝撃を覚悟して、愛光が目を瞑った時。
「……止めろっ!!」
ライネスが剣を構えて、ウィロアに飛び掛かった。
「はっ!!」
ライネスの鋭い一閃を、ウィロアは黒い靄で受け留める。
「ライネス、貴方も おんなじ。大体 私が怖いんなら、其処で蹲ってれば良かったのに。」
ウィロアの右手から、鋭く黒い物が飛び出し。
「……が……っ。」
それはライネスの脇腹に突き刺さった。
傷口と、彼の口から鮮血が溢れ出る。
「ライネス……っ。」
いつの間にか意識を取り戻したのだろう、リホの悲鳴のような声が聞こえた。
ずぼっと嫌な音がして、ウィロアの手から飛び出した武器はライネスの躰から抜け。
彼は背中から、地面に倒れた。


