「久し振りねェ、ライネス。」
ウィロアと呼ばれた悪魔は、声の主――ライネスに向かって、艶やかな笑みを浮かべた。
「……何で……お前が此処に……っ。」
いつもは自信満々で悪魔と戦っているライネスが、ゆっくりと後退る。彼が微かに震えているのに、愛光は気付いた。
「何でって……大事な事を しに。」
ウィロアは楽しそうに くすくす笑った。
「下っ端達が戦っても話に ならないから、上の人達が動き始めたの。予言を実現させる為に。」
「予言を実現!? 何 言ってんだ?」
「そんな事したら、あんた達 悪魔が負けるじゃない!」
ウィンとレイムが口々に抗議すると、ウィロアは微笑んだ。
「貴方達、予言を最後迄 知ってるの?」
「……“最後迄”?」
愛光が呟くと、ウィロアは頷いた。
「そ。最後迄。」
「……皆は知りません。知っているのは、私だけです。」
ウィロアに答えたのは、リホだった。


