「へ?」
素っ頓狂な声を上げてしまい、愛光は そっと後ろを振り返った。
其処に居たのは、先程迄 寝ていたのだろうか、さらさらの金髪に僅かに寝癖が付いている、ライネスだった。
「なぁんだ、ライネスか。びっくりさせないでよ。」
愛光の言葉には答えずに、ライネスは愛光が座っている岩の直ぐ隣に腰掛けた。
「どうしたの?」
「……ちょっと……嫌な夢を見た。」
ライネスの答えに、愛光は ぷっと吹き出した。
「何か、可愛い。」
「はぁ?」
「嫌な夢 見て寝れなくなっちゃったんだ? それで外の空気 吸いに来たと。」
「……そうゆう お前は、何してんだよ?」
「愛光って呼んでって言ってんでしょ。ちょっと考え事。」
そう言うと、ライネスは僅かに眉を寄せて、愛光を見下ろした。
「考え事?」
「そ。」
「……人界に帰りたい、とか?」
「え、何それ。」
ライネスの問いが面白過ぎて、愛光は益々 笑みを深める。
「帰りたくないよ。私の居場所は此処しか無いもん。」
そう言うと、ライネスは じっと愛光を見つめた。


