フィールドに現れたウィンとライネスに、ヒューヒューと茶化すような口笛が投げられる。


ウィンはライネスに向かって、真っ直ぐに右手を伸ばし。


ライネスは左手に剣を握り、独特な構えを取って。


試合は、開始した。



「鎌鼬!!」



直ぐに攻撃を仕掛けたのは愛光の予想通り、ウィンだった。ライネスは当然のように それを躱し、ウィンの前に飛び出して剣を振り下ろす。



「竜巻(トルネード)!」



ウィンの腕から放たれた暴風に、ライネスの躰は弾き飛ばされたが、竜巻が収まると、涼しい顔のまま、すとんと地面に降り立った。



「まだまだ! 風玉(ウィンドボール)!」



ウィンは直様 攻撃するが、やはりライネスは躱すのみだ。



「だからウィン、攻撃が単調過ぎますってば。」



リホの焦れったそうな声が、愛光の直ぐ隣から漏れた。



「よっしゃー奥の手を見せてやんぜー!!」



ウィンは笑顔を崩さずに、そう宣言する。彼女の周りに鋭い風が集まり始め、ライネスは警戒して距離を取った。



「神速!!」



ウィンの言葉と共に風は止み。


刹那。



「……かはっ……!」



ライネスの右脇腹に、強烈な蹴りが入った。