がつっと言う嫌な音と共に、アゴラの躰は横ざまに倒れた。
「……気絶させただけだ。」
慌てて駆け寄って来た審判に そう呟き、ライネスはフィールドを後に した。
(……何を、言ったんだ……俺は……。)
自分が試合の間に口走った言葉の数々が、脳裏に蘇る。
――誰かが俺の世界を壊してくれるのを、ずっと ずっと待ってた。
(それが……俺の本心か……。)
何故あんな事を言ったのか、全然 解らない。
頭に靄が掛かったかのように ぼんやりしていた。
それでも、哀しいとか、怖いとか言う感情は襲って来なくて。
ライネスは、深く、溜め息を ついた。


