「…………っ。」
腕に思い切り力を込めてアゴラと自分の剣を突き放し、ライネスは彼と距離を取ろうと した。
しかしアゴラは長い足で、素早く間合いを詰める。
「逃げんなよ。」
「っ!!」
顔に大剣の切っ先が突き出して来て、ライネスは辛うじて それを躱した。
ライネスは何とかアゴラと距離を取ろうとするが、彼は一気に間合いを詰め、ライネスの顔を集中的に狙う。
「……ぁ……。」
避けるのに必死で地面に躓き、ライネスは小さく悲鳴を上げて地に倒れた。
ライネスの躰に跨り、アゴラは大剣の先をライネスの首に近付ける。
「ちょ、ちょっとアゴラ選手!! 殺人はルール違反ですよ!!」
流石に不味いと思ったのか、審判が声を掛けるが、アゴラは笑顔を崩さない。
「硬い事 言うなって。」
アゴラの剣が、ライネスの白い頬に小さく傷を付ける。
大剣に付いた血を舐め、アゴラは不敵に笑う。
「らっ、ライネス!!リタイアしろって!!殺されても知らねェぞ!!」
愛光の隣に居たウィンが叫ぶ。
その言葉に、アゴラは益々 笑みを深めた。


