第7試合も終わり、ライネスの出番である第8試合が始まった。
ライネスの前に立つのは、30代くらいの大柄で筋肉質な男だった。
「おおおおいおい、ライネスの相手、最早 年齢とか関係無くね?」
「あそこ迄 差が在ると言う事は、魔法の相性が余程 有利なんでしょうか?」
ウィンの言葉に、リホも首を傾げる。しかし当のライネスは、それ程 気にしていないようだ。
「アゴラと言う。随分と綺麗な顔した兄ちゃんだな。」
「……ライネスだ。」
アゴラと言う男は大口を開けて笑っているが、対するライネスは無表情だ。
アゴラは腰から大剣を抜く。
「……その綺麗な顔、傷付けたら気持ち良さそうだ。」
その言葉と共に、アゴラはライネスに向かって飛び出した。
「なっ、何か あいつ今、とんでもねェ事 言わなかった!?」
ウィンが慌てて叫ぶが、アゴラは躰に似合わないスピードで大剣を振り下ろす。ライネスも腰から剣を抜くと、アゴラの攻撃を受け留めた。
「……いっ……!」
しかしアゴラは見た目通り力が強いらしく、ライネスは腕の痛みに顔を歪めた。
「ははは、その顔 良いなぁ。俺、昔 良く不細工って言われたからよぉ、綺麗な顔 見ると、壊したくって堪んねェんだ。」
「……あいつ、キモいな。」
ウィンの呟きに、愛光達のみならず、観客席に居た赤の他人迄もが、こくこくと頷いた。


