「そう言われてもなぁ……私、仲間が参加するってゆうから、参加しちゃっただけだし。」
「仲間?」
首を傾げるユウの姿を可愛いと思いながら、愛光は頷く。
「一緒に旅してる、仲間が居るの。」
「楽しい?」
「うん。」
頷くと、そっか、とユウは哀しそうに微笑んだ。
「俺ね、病気の母さんが居るんだ。」
訊かれた訳でもないのに、ユウは話し出す。
「薬代、高くてさぁ……だから賞金 手に入れて、買ってやろうと思って。」
(……え。)
ユウの言葉に、愛光は絶句する。
そんな彼女の様子に気付き、ユウは慌てて手を ぶんぶんと振った。
「あっ、違うよ! 同情して欲しいんじゃないよ!? 唯……相手には それぞれ事情が在るんだろうなぁって思って。寧ろ これ聞いて同情とかしてアイカが負けたら、俺、怒るからな!」
「……解ったよ。手加減なんてしないから。てゆうか出来る程 強くないし。」
そう言った愛光は、目の前で無理して笑う少年を、じっと見つめた。


