「リー、どうしたのかな?」
愛光が不安そうに訊くと、リホが微笑んだ。
「男には男にしか解らない話が在るんですよ。」
「ふぅん……。」
愛光が尚も不安そうに呟いた時、ウィンに早くフィールドに来るようアナウンスが掛かる。
「あ、いっけねェ。あたし、リーの次じゃんね。」
ウィンは慌てて観客席の柵を乗り越え、フィールドに着地する。
控室を経由しなかったウィンに、運営者と観客は驚いていた。
「ウィン、相変わらず お転婆なんだから。」
そんな彼女を見送り、リホは くすくす笑った。
ウィンの相手は、同じ歳くらいの少女だった。腰迄 伸ばされた艶々の水色の髪、同じ色の美しい瞳。
強そうには見えない。
「ウィンだ。宜しくな!」
「リンです。宜しくお願いします。」
ウィンと彼女は挨拶を交わし、試合が始まった。


