予言と未来








ライネスが居なくなった観客席で、愛光達はリーの戦いを見守る。しかし、リーの方が押されているのは、素人の愛光でも解った。



リーの攻撃を、ルウは平然と避ける。そして体勢を立て直す間もなく反撃する。



魔法を乱発し、疲れが溜まって来たリーは、その攻撃を避ける事すら ままならなく なって来た。



ルウの氷の玉に吹き飛ばされ、地面に膝を付いたリーは、遂に頭の上に手で×を作る。



リタイアの合図だ。



退場するリーとルウを見送りながら、頬杖を付いてウィンが呟く。



「やっぱり あたし達、弱いのかな?」



ウィンが強いと言っていたリーは、女の子 相手に全く歯が立たなかった。それは、そもそもウィン達と、他の人達の“強い”の価値観が違うと言う事。



「……どうだろう……弱いのかな? だって一応、属性は不利だったし。」



草と氷では、明らかに草の方が劣勢だ。



受付の女性は、不利な属性の組み合わせは基本的に しないと説明していたが、今回は例年より参加者が少なく、上手くトーナメントが作れなかったらしい。



レイムの答えに、ウィンは眉を顰めて頷いた。



「確かに そうだけどさ、あたしには それ以前に、体力も、技術も、リーの方が劣っていたように見えたんだ。」



「……ウィンお姉ちゃんの言う通りだよ。」



突如、愛光の後ろから、疲れを滲ませた声が聞こえた。