「あいつ、どうしたんだ?」
ウィンが呟くと、リホは俯いた。
「恐らく、責任を感じてるんです。」
「責任?」
「当時、彼は6歳だったとは言え、龍族の一員であった事に、変わりは無い。戦えもせず、虐められていた自分が生き残ってしまった事を、彼は悔やんでいるんです、多分……。」
リホが最後に“多分”と言ったのは、今の言葉が彼女の憶測であると言う事。
「そんな事 言ったって、起こっちまった事は変えらんねェだろ。」
呆れたように言うウィンを、リホは見ない。
「……貴方って、いつも そうなんですね。」
「え?」
「いっつもライネスの悪口ばっか言って……そんなに彼が嫌いですか。」
「あたしは……。」
「人には それぞれ違う考えが在る事くらい、私にだって解る。でも何も、その人の前で好きな人の悪口を言わなくたって、良いでしょう?」
普段は温厚なリホが、怒鳴りは せずとも毒を吐いたのだから、愛光とウィンとレイムは固まってしまった。
微妙な空気が流れて行く。
(……私もライネスが好きだから、リホの気持ちは解るけど……こんな空気に しないでよ~……。)
愛光は気付かれないよう、小さく溜め息を ついた。


