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15分後、大会が始まった。
「行って来るね……。」
2回戦目に出番が在るリーは、選手の控室の方へ、不安そうな顔を しながら歩いて行った。
「リー、強いんだから自信 持ちゃぁ良いのに。」
「強いんだ?」
ウィンの不満そうな声に愛光が訊き返すと、ウィンは にっこりと笑う。
「魔法の威力は弱い方だけど、使い方が上手いんだ!」
「へぇ……。」
そんな会話を している内に1回戦は終わってしまい、コロシアムのフィールドに、リーと彼の相手が現れた。
歳はリーと同じか、1、2歳 下だろう。肩迄 伸びたクリーム色の髪を、右側でサイドテールに している。綺麗なマリンブルーの瞳は、とろんと していて眠そうだ。
「……弱そうだな。」
ウィンが ぼそっと呟く。
そうゆう事 言わないの、とリホが窘めている間に、フィールドの2人は挨拶を交わす。
「リーだよ。宜しくね。」
「ルウ。此方こそ。」
やっぱり声も眠そうだ、と愛光が思った時、試合が始まった。


