明石先輩に告って断られちゃうし、不良に絡まれるし。


何よりも、野島がこの家に馴染んじゃった事が一番ムカついた。


うちの家族はオールカマーな気質で、知らない人でも困ってれば一万円くらいあっさり貸すし、家に泊める事だって珍しくない。

まあ、山潮の人たちは昔から人懐っこくて世話を焼くのが大好きだから、それはうちに限った話じゃないんだけど。


誰かが来ても入れるよう玄関の鍵は常に開いてるし、現代にしちゃかなりオープンで近所付き合いも濃い。


だから、野島が打ち解けられたのはほっとした反面、一方ではなんだか嫌な気持ちにもなった。


今までろくに喋ってない大して親しくない相手が、自分の日常に入り込んできた拒否感。

それもあるんだけど、たぶんあたしの苛立ちはもっと根深いものだと思う。


それが何なのかはまだ解らないし、深く追及すると疲れそうな気がしてやめた。


とにかく、今日のあたしはいろんな人にいろんな面から否定されたんだ。


シチュエーションや言葉こそ違え、みんな一様にあたしという人間をバカにしたんだから、今ごろになって涙が出るくらい悲しくなって、声を押し殺して泣いた。